「CO−CREATION」&「COLLABORATION」
地域のデザイナーにとっても重要な一歩でした
公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)鳥取地区と島根地区のデザイナーが中心となり、総勢17名で2023年4月から活動を開始しました。きっかけは、元々障がい者アートを盛り上げるために尽力されている方から「もっと地域で盛り上げることは出来ないか?」と相談を受けた時、JAGDAメンバーを通じて、シブヤフォント・ご当地フォントを知り、2023年4月28日、ご当地フォントの発起人の一人である福島 治さんを講師に迎えたキックオフ講演会を皮切りに山陰での活動をスタートしました。
今年度(2023年当時)は鳥取地区の7つの施設と鳥取県が運営する障がい者アートのオンラインミュージアム『バリアフリー美術館』との連携で活動を開始。
施設に訪問して一緒にフォント・パターンを作成していく「CO−CREATION/コ−クリエーション(一緒につくる)」と、既に作成されているアート作品を元にデザイナーがパターンを作成していく「COLLABORATION/コラボレーション(コラボ)」の二つの制作方法で作品づくりを進めています。
参加施設はキックオフ講演会を通して、すぐにいくつか決まりました。デザイナーは施設から依頼を受け、クライアントワークとして仕事をすることはあっても、障がいのある方と一緒につくるというのは全員が初体験でした。コミュニケーションはどうやってとるのか?一緒につくることは出来るのか?そもそも、受け入れてもらえるのか?など心配なことがたくさんあり、緊張しながらの初訪問でした。
実際に訪問してみると「知らないから不安だっただけ」というのが、すぐに分かりました。指導員の方が丁寧に紹介してくださったこともあり、「いらっしゃい!」「これ見て!」と施設の利用者さんの方からどんどん声をかけていただけ、訪問回数を重ねることで、『一緒につくる』ということが自然に始まりました。
そして何より、真っ直ぐに楽しく、こだわりをもってアート活動している利用者の方々と一緒にものづくりをしているのがとても心地良く感じました。また私たちがアート活動に参加することで、「初めて書いた字を見た!」「こんな絵をかくんだ!」など、指導員さんも見たことがない作品をつくり始めるきっかけにもなっています。
訪問する中で印象深かった言葉があります。次の訪問スケジュールを調整している時に指導員さんから「私たちは会いに来てもらえるだけでも嬉しいので」と言ってもらったことです。『アート活動が仕事の一つになるように』、『アートを社会に繋げて工賃をあげられるようになるために』というのが、活動目標の一つですが、何よりも会いに行って一緒の制作時間を共有することがこの活動の一番大切なことだと、この言葉を言われた時に再度実感しました。
作家の個性を最も大切にしながらデザイナー目線で方向付けをしてく
デザイナーが制作するなかで一番大切にしているのは、作家(利用者さん)の個性です。選んでいるモチーフ、描き方、好みやこだわりを汲み取りながら、企業や団体が購入して使いやすいようにフォントやパターンに仕上げていきます。
例えば、いきよい良くクレヨンで描かれる線は何十匹の魚、たまにエビフライもまざっています。ネクタイをつけているスーツの男性はちゃんとしていて、お金を稼いで、お酒を買います。沢山のロボットは戦隊モノのテレビヒーローです。図鑑を見ながら鳥を描いています。編み物は高校を卒業してから続けているから、もうキャリアは50年。などなど。
絵や作品を見ただけでは分からないことが、話を聞いて、一緒の時間を過ごすことでつかめてきます。
その内側を大切にしてデザイナーはデザインの向かう先を見つけていきます。
また複数の施設に訪問しているので、施設毎にアート活動のやり方も違います。私たちが参加することで新しい挑戦をはじめてくれる施設もありますし、今の活動のやり方を大切にしたいという施設の場合は寄り添いながら参加の仕方を見つけていっています。施設によっても、作家さんによっても色々違いますが、共通しているのは「真っ直ぐつくっている」こと。これからもそれを大切に活動を続けていきます。
こちらのストーリーで生まれたフォント・パターン
ストーリーづくりを
ご一緒しましょう
「ご当地フォントサイトにデータを登録したい!」「デザイナーを紹介してほしい!」「アートワーク(フォント・パターン)を活用したイベントを企画提案してほしい」など、さまざまなお手伝い、連携を進めております。ぜひお声がけください。