日々紡いできた信頼関係から生まれた あたたかなフォント&パターン
ゆけむりたなびく、のどかな地で生まれた温かいフォント
街中に湯けむりがたなびくのどかな風景が自慢の別府は、日本有数の温泉地。その温泉と豊かな自然に恵まれた環境で生まれたのが「ゆけむりふぉんと」です。制作したのは、この地で「自由にのびのび」をモットーに、障がいを持った人たちがアートを中心とする創作活動を行っている「DESIGNERS COMPANY Y.H2020」(デザイナーズカンパニーユーツー)(以下ユーツー)。
「ユーツーがある別府はとてもいいところです。この、のびのびしたフォントやパターンがどんなところで生まれたのか、ぜひ多くの方に来て見て欲しいです」
と、ユーツーの代表理事、梅本弥生さん。おっしゃるとおり、ゆけむりフォントは温かみのあるのびのびとしたフォルムが印象的。ユーツーでは普段からさまざまなアート活動を行っていますが、その中でもご当地フォントは、新たなターニングポイントになったと感じているそうです。
「施設の中に文字を書くのが得意な子、個性的な文字を書く子がいたので、ご当地フォントに参加したことはとてもいい機会でした」 そう話してくれたのは「ゆけむりふぉんと」でデザインを担当した佐藤霧子さん。佐藤さんがアートディレクターを務める「nanKa」はアウトサイダーアートの価値創造をミッションにした会社。これまでにもユーツーと一緒にさまざまなアート活動をしてきました。
ゆけむりフォントを生み出したのは日頃からの信頼関係
「私は基本的には、アート表現においてはあまり手を加えない方がいいと思っています。しかしデザインは課題解決や価値創造という意味が強くなるので、そこがアートとの大きな違いであり、今回のプロジェクトで一番葛藤したところです。普段は彼らの作品を重視して、あまり手を加えないようにしていますが、今回は使う人のことを考えないといけないですし、作った以上使われないと意味がないのでどこまで手を加えるか悩みました。」(佐藤さん)
ご当地フォントのプロジェクトでは、期日までに規定の文字をすべて用意する必要がありました。しかし障がいのある人たちにとってそれは難しい場合も多く、なかなか予定通りには制作が進まないこともあったそう。
「障がいのある人がひとつのことに取り組むには、環境づくりが重要です。精神的にムラがあるし、やりたくない時もあります。彼等をやる気にさせる下地作りを、施設のスタッフたちが下支えしてくれたのでやり遂げることができました。ひとつのプロジェクトをやり遂げるにはチームワークと信頼関係が重要です。今回もいつも彼らを見ていて、素材を大事に扱ってくれる佐藤さんがコーディネートしてくれたからこそだと思っています」
と、梅本さんは日頃からの信頼関係の重要性を教えてくれました。「ゆけむりふぉんと」の名前には、湯煙のゆらゆらした感じの他、ユーツーのメンバーの自由な感じ、何にもしばられない感じが表れていると言います。
「やりたいことはたくさんありますが、私が一番大事にしていることは続けることです。今回、デザイン完成間近になって、新たに文字を書いてくれた子がいました。きっとすごくやる気になってくれたんでしょうね。ですから『ゆけむりふぉんと』は今回で終わりではなく、これからもずっと続けていきたいと思います」(佐藤さん)
こうした思いで続けてきた創作活動で培ったチームワークによって誕生した「ゆけむりふぉんと」は、土地柄と制作者たちの人柄もあいまって、温かなものに仕上がっています。
こちらのストーリーで生まれたフォント・パターン
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