百万石の地で生まれた、やさしい愛の傘の物語
ハイタッチしたり、ハグしたり。一歩ずつ、絆を深めていく時間。
加賀百万石の地、石川県でこの「百万石フォント」が生まれることになったのは、2023年秋、石川県で国民文化祭/全国障害者芸術・文化祭が開催されることがきっかけでした。そのイベントの一つ「きらめく個性!全国障害者作品展」の特別展示コーナーで発表できることが決まり、しかも生まれたパターンで傘を作って展示することになったのです。石川には昔から「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があります。それだけ雨が多い石川県、傘は、ある意味石川らしさを表すシンボルなわけです。そんなことからスタートしたこのプロジェクトに参加してくれたのは、金沢市内にあるNPO法人地域支援センターポレポレ。「以前からご当地フォントにチャレンジしたいと思っていたけど、しかもこんなに大きなイベントで発表できるとは本当にうれしい限りです」と語るのはポレポレのセンター長である菊義典さん。
そして、デザイナーは、今回のプロジェクトの企画者である橋本謙次郎さんが、以前からポレポレと交流があったデザイナーの横山真紀さん、西出彩織さんを誘って3名で「チームporepore」を結成。体制も決まり、いよいよ1回目のワークショップを迎えたのです。
(きっと)障害のある人たちも、ポレポレの人たちも、デザイナーも、みんなが一体どんなワークショップになるんだろうと緊張と期待とで、ドキドキしていたと思います。でも、いざ始まれば親しさも増して、一点一点出来上がるたびに「できたぁ~」とハイタッチしたりハグしたり、ゆっくり深呼吸しながらじっくり向き合ったり。その人その人のペースに寄り添いながらあっという間の楽しい素敵な時間となりました。
「普段とは違う状況の中、しかもデザイナーさんと一緒に過ごす時間ってどうなるんだろうと思っていましたが、本当にみんな嬉しそうで、いつも以上に頑張って、特別な機会になってよかったです」とポレポレのスタッフさんの言葉が全てを物語っていました。
みんなで創り上げた作品は、かけがえのないモノに。
無事、ワークショップも終わり、次はデザイナーががんばる時間。石川にちなんだモチーフをいくつも描いてもらって集まったたくさんのアートの中から、「いかに石川らしさを表現するか」「傘になることを想定してどれがいいか」を意識しながらデザインしていきました。
そして、月日は流れ… ついに!完成した傘がポレポレに届く日が!
実際に自分たちが描いたアートが展開される傘を見た時の皆さんの笑顔は忘れられません。菊さんは言います。「みんなで汗をかいて笑って時には頭を抱えながらも創った作品はかけがえのないモノ。完成したデザインを見た時も傘が届いた時も喜びを共有しハイタッチをしました。そこには間違いなく「壁」はなくつながっている事を実感した瞬間でした。」
デザイナーたちも今回のプロジェクトに参加して本当に良かったと言います。「デザイナーとしても、人としても学びや気づきがありました。感動をありがとう。この出会いに感謝です。」
今回、百万石フォントは、傘を中心に物語がはじまりました。そこには、人が人を想う、寄り添う、支え合う、やさしい「愛」がありました。これからもそんなやさしい愛が広がるストーリーを重ねていきたいと思います。
そして、いよいよ展覧会スタート。そこにはみんなの笑顔と「愛の傘」がいっぱい咲き誇っていました。
こちらのストーリーで生まれたフォント・パターン
ストーリーづくりを
ご一緒しましょう
「ご当地フォントサイトにデータを登録したい!」「デザイナーを紹介してほしい!」「アートワーク(フォント・パターン)を活用したイベントを企画提案してほしい」など、さまざまなお手伝い、連携を進めております。ぜひお声がけください。